企業の財務健全性を評価する上で、バランスシート(BS)は重要な手がかりとなります。
BSを判断する上で様々な指標がありますが、特に自己資本比率、借入金依存度、総資産現預金比率という3つの財務指標は、企業の安定性や成長性を判断する上で有用な情報となります。
ここでは、これらの指標がどのように「よいBS」と「悪いBS」を示すかについて詳しく解説していきます。
〇自己資本比率(Equity Ratio)
自己資本比率は、企業の自己資本が総資本に占める割合を示す指標で、次の算式により算出されます。自己資本比率が高いほど、企業は負債に依存せずに運営できることを意味します。
自己資本比率=純資産÷総資本×100
よいBS:自己資本比率が30%以上の企業は、財務的に安定しており、将来の成長に備える準備が整っていると見なされます。
悪いBS:自己資本比率が10%未満の企業は、負債に過度に依存しており、将来のリスクが高いと考えられます。
〇借入金依存度(Debt to Equity Ratio)
借入金依存度は、企業の借入金が自己資本に対してどれだけの割合を占めているかを示す指標で、次の算式により算出されます。借入金依存度が高いと、企業の負債が増加し、返済能力に影響を及ぼす可能性があります。
借入金依存度=有利子負債÷総資本×100
よいBS:借入金依存度が50%未満の企業は、健全な資本構造を持ち、安定した財務状態であると見なされます。
悪いBS:借入金依存度が70%以上の企業は、負債に過度に依存し、経営リスクが高いと考えられます。
〇総資産現預金比率(Cash Ratio)
総資産現預金比率は、企業の総資産に対する現金や預金の比率を示す指標で、次の算式により算出されます。現金や預金が多ければ多いほど、企業は経営上の緊急時に柔軟に対応できる可能性が高まります。
総資産現預金比率=現預金÷資産合計×100
よいBS:総資産現預金比率が20%以上の企業は、緊急時のリスクを回避するための十分な現金を持っていると見なされます。
悪いBS:総資産現預金比率が10%未満の企業は、経営上の緊急時に資金が不足する可能性があります。
結論
自己資本比率、借入金依存度、総資産現預金比率は企業の財務健全性を評価する上で極めて重要な要素です。
これらの指標を正しく分析し、企業のバランスシートを理解することは、投資家や経営者にとって不可欠です。
財務指標が健全である企業は、将来のリスクを最小限に抑え、持続可能な成長を実現する可能性が高まります。逆に、財務指標が不健全な企業は、経営リスクが高まり、将来的な問題を引き起こす可能性があります。
したがって、投資やビジネスの意思決定においては、これらの財務指標を注意深く検討することが重要です。
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