経営者にとって、数字は「過去の記録」ではなく「未来を動かす羅針盤」であるべきです。しかし、多くの経営者が、数字を“税務処理の結果”としてしか活用できていません。そこで今注目されているのが、税理士が財務コンサルタントとして企業に伴走するスタイル。本記事では、年商1億円以上の企業を中心に支持を集めている「税理士による財務コンサルティング」の5つのメリットと、実際の成功事例を紹介します。


目次

  1. 専門性と信頼性を兼ね備えた“本物の財務戦略”
  2. 経営相談の延長線上で“戦略的支援”へと発展
  3. 売上ではなく“利益とキャッシュ”を最大化できる
  4. 税務顧問から“一歩先”の伴走へ──競争優位を築く
  5. 経営者が“孤独な意思決定”から解放される
  6. 財務コンサルティング導入による成功事例
  7. まとめ|数字で未来を描く“税理士の進化形”

1. 専門性と信頼性を兼ね備えた“本物の財務戦略”

税理士は、企業の決算・税務・会計の実データを把握しており、財務コンサルタントの中でも唯一、「数字の裏付け」をもって経営助言ができます。

主な支援例

  • 銀行が評価する財務構造を理解した資金調達アドバイス
  • 税務上のリスクを踏まえた投資・借入戦略
  • 利益を守りながら人件費や採用投資を進める経営設計

理想論ではなく、実現可能な数字に基づいた提案。それが、税理士×財務コンサルの最大の強みです。


2. 経営相談の延長線上で“戦略的支援”へと発展

顧問税理士はすでに経営者の信頼を得ています。だからこそ、日常の会話の中で経営課題を自然にキャッチし、戦略的な支援提案に発展させることができます。

「この利益で次の投資は安全ですか?」
「借入を増やすより、運転資金を圧縮できませんか?」

数字を深く理解する税理士だからこそ、その問いに“論理と根拠”で応えることができるのです。


3. 売上ではなく“利益とキャッシュ”を最大化できる

財務コンサルティングの本質は「稼ぐ力の見える化」。税理士が関わることで、単なる利益計算ではなく、キャッシュフローまで見据えた設計が可能になります。

具体的な支援内容

  • 部門別会計・粗利管理による収益構造分析
  • 損益分岐点の再設計による固定費削減
  • 半年先の資金繰りシミュレーションと金融交渉支援
  • 銀行評価を高め、スムーズに借入を行うことができる

利益+キャッシュ=企業の“生存力” その両輪を整えることが、税理士の財務コンサルの使命です。


4. 税務顧問から“一歩先”の伴走へ──競争優位を築く

AIやクラウド会計の普及で、「決算・申告だけでは差別化が難しい」時代。そこで求められているのが、数字を使って経営を導く“プロ経営パートナー”です。

税務顧問+財務コンサルティングを組み合わせることで、他の税理士事務所にはない価値を提供できます。

  • 補助金・助成金活用支援
  • 金融機関との関係構築・借入計画サポート
  • 中期経営計画の策定・KPI設計

事務所のサービスが「経営者の未来を共に描く伴走型支援」へと進化します。


5. 経営者が“孤独な意思決定”から解放される

年商1億を超えると、社内でも相談できる相手が減り、判断の重圧が増します。

財務コンサルティングを行う税理士は、そんな経営者にとって「もう一人の参謀」となります。

「何を優先すべきか」
「どの投資が未来を生むか」
「今の経営判断は安全か」

数字を共に読み解き、感情と理性の両面から支えることで、経営者は孤独から解放され、“確信ある一歩”を踏み出せます。


財務コンサルティング導入による成功事例

稲田光浩税理士事務所では、数字を「過去の記録」ではなく「未来を描くためのツール」として活用し、経営者と共に財務戦略を設計しています。ここでは、実際に当事務所が伴走した企業の中から、財務コンサルティングを通じて大きな変化を遂げた2つの事例をご紹介します。


1. 【不動産業】創業4期目で年商8億円を達成、5期目で10億円を目指す企業

創業初期から伴走している不動産売買・仲介企業様。

4期目で前年比400%成長、年商8億円 利益140%UPを実現し、現在は5期目で10億円のステージを目指しています。

早い段階から「財務を経営の軸にする」という共通認識を経営チーム全体で育て、月次で資金状況を見える化する体制を整備しました。数字に基づいた意思決定を積み重ねることで、安定と成長の両立ができる財務基盤を確立しています。

特に、資金と在庫のバランスを定期的に確認し、投資・仕入・販売の動きを常に俯瞰できる仕組みを導入。これにより、過剰な在庫を抱えることなく、キャッシュを循環させながら安定成長を続ける体制を築きました。

また、利益率よりも回転率を重視する方針に切り替え、「動きの早い、信頼できる業者」として取引先からの評価が上昇。結果として案件の紹介や仕入れチャンスが増加し、売上成長のスピードが加速しました。

さらに、経営理念を明文化し、社内で共有することで、採用の場でもその想いに共感する人材が集まりました。実際に、理念に共鳴した前職が上場企業の社員が転職を決意し、現在は中核メンバーとして活躍しています。

数字と理念の両面から経営を整えることで、財務・組織・人材のすべてが一体となった、「自走する経営」へと進化している好例です。


2. 【医療法人(MS法人とのグループ取引)】債務超過からの脱却へ──取引構造の見直しと金融連携で再生を図る

債務超過に陥っていた医療法人の事例です。税理士変更のタイミングで、期首から資金が減少している点に違和感を覚え、財務の流れを精査しました。

分析の結果、グループ内のMS法人(医療系サービス法人)との取引が、医療法人本体の収益性を圧迫している構図が判明。このMS法人スキームは前税理士の方針で構築されていたため、現状の実態と合致しているかを一から検証し、取引スキームの全面見直し(利益の滞留ポイントの是正・役割の再定義)を進めました。

同時に、メインバンクおよび日本政策金融公庫と連携し、前回の事業計画(前税理士関与時)との差異が生じている理由を丁寧に説明。収益性改善の方針と実行プロセスを数字で示し、現実的な再生計画として合意形成を図りました。

結果として、新規・追加の融資決定につながり、資金繰りの安定化を実現。現在は、不要不急のコスト削減で一時的な黒字化を確保しつつ、患者数の回復と新サービス展開による再成長フェーズに移行しています。

「MS法人とのグループ取引を可視化し、前税理士の設計意図も踏まえて最適化する」ことで、金融機関との信頼を回復し、経営者が再び“数字で未来を語れる状態”を取り戻した好事例です。


まとめ|数字で未来を描く“税理士の進化形”

税理士が財務コンサルタントを行うのは、単なる業務拡張ではなく、経営支援の本質的進化です。

数字を“整理する”だけの時代は終わり、数字で“経営をデザインする”時代が来ています。稲田光浩税理士事務所は、その最前線で経営者と共に歩む「右腕型パートナー」として、企業の未来を数字で支え続けます。


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