保証協会・銀行面談の準備ガイド|想定問答30と持参書類チェックリスト

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経営者向け 準備ガイド

保証協会・銀行面談の
準備ガイド

想定問答30 と 持参書類チェックリスト
7日間の準備スケジュール / 創業時・2回目以降の持参書類 / 6カテゴリの問答 / 当日の振る舞い / 面談後の動き

面談で聞かれることは、突き詰めれば4つ。
資金使途・返済原資・業績変動の理由・既存借入の状況。
この4つを「数字がつながった物語」として語れるように、
面談の7日前から準備を始めるための実務手順書です。

稲田光浩税理士事務所 大阪市淀川区西中島(新大阪)|クラウド会計 × 社外CFO
税理士 稲田光浩(税理士業界19年・登録8年目/東京プロマーケット上場準備中企業の監査役・社会医療法人の監事)

はじめに|この資料の使い方

このガイドは、ブログ記事「信用保証協会の面談で聞かれること|創業時と『2回目以降』では、見られる場所が違う」の続編として作りました。記事では「何を見られているか」を書きました。このガイドでは、「では、何を、どの順番で準備するか」まで落とし込みます。

申し遅れました。税理士の稲田光浩です。税理士業界19年、税理士登録8年目。東京プロマーケット上場準備中の企業の監査役、社会医療法人の監事を務め、複数社の経営会議・取締役会に外部の立場で参加しています。お金を「借りる側」の隣にも、「使い道を審査する側」の席にも座っている人間として、審査側が何を確かめたいのかという目線で、この問答集を作りました。

使い方の順番:
① 面談日が決まったら、まず「7日間スケジュール」(このページ)で日程を逆算する
② 「持参書類チェックリスト」(P3)で自社の状況(創業時/2回目以降)に合う欄をチェックする
③ 「想定問答30」(P4〜P6)を読み、自社に当てはまる問いに自社の数字を当てはめて声に出して練習する
④ 前日に「当日の振る舞い」(P7)を読み直し、面談後は「面談後にやること」(P7)でメモを残す

先に正直に書きます。この問答集を暗記しても、面談は乗り切れません。審査側が確かめたいのは、答えの上手さではなく、「この社長は自社のお金の流れを把握しているか」です。型は借りてください。ただし、数字は必ず御社のものを入れてください。

なお、本資料の制度説明・料率は執筆時点(2026年8月)の公表情報に基づく一般的な説明で、協会・金融機関・時期・財務状況により取り扱いは異なります。試算はすべて「仮に」のモデル計算です。

面談前7日間の準備スケジュール

面談の連絡は、だいたい1〜2週間前に来ます。7日あれば、下の表の準備は十分に間に合います。逆に、前日に一気にやろうとすると、借入一覧表の数字が合わない・資料が揃わない、で終わります。

日程やることこのガイドの参照先
7日前面談の目的を銀行担当者に確認する。増額か、借換か、業況確認か、経営者保証の相談か。目的で聞かれる中心が変わる。あわせて「先方から指定の持参書類」を聞くP3 チェックリスト
6日前借入一覧表を作る。借入先・当初金額・残高・金利・月返済額・最終返済日・保証の有無を1枚に。他行分・リース・役員借入も全部載せる。返済予定表と残高を突き合わせるP3 書類No.2/問答No.16〜20
5日前資金使途を「品目と金額」に分解する。「運転資金」で止めない。何に、いくら、いつ要るのか。設備なら見積書、運転なら受注増の根拠(注文書・売上推移)を添える問答No.1〜5
4日前返済原資を1行で言えるようにする。直近決算の「経常利益+減価償却費」と「年間返済総額(今回分を含む)」を並べ、上回っているかを確認する。上回らないなら、その理由と手当てを整理する問答No.6〜10
3日前業績変動の説明を用意する。前期比で大きく動いた科目(売上・粗利率・人件費・役員貸付金等)について、原因と打った手をセットで。直近の試算表と資金繰り表を最新化する問答No.11〜15
2日前想定問答30を声に出して通す。自社に当てはまる問いに、自社の数字を入れて答える。顧問税理士がいれば模擬面談を頼む。「答えられない問い」を洗い出して補強するP4〜P6
前日書類を揃え、コピーを2部ずつ取る。決算書は3期分、試算表は直近月まで。当日の振る舞いを読み直す。服装・時間・場所の確認。夜は早めに休むP3/P7
当日15分前に到着。書類は出す順に並べる。聞かれたことに、結論→数字→理由の順で答える。わからないことは「確認して本日中に回答します」と言うP7

持参書類チェックリスト

面談で「なぜ必要か」を理解して持参した書類と、言われたから持ってきた書類は、審査側には見分けがつきます。前者は出す順番と説明が付いてくるからです。各書類に「なぜ必要か」を一言添えました。

共通ルール:すべてコピーを2部(先方提出用・自分の手元用)。決算書は原本ではなくコピーで可。電子データは念のためスマホにも入れておく。先方から指定があった書類は、このリストより優先する。

A創業時(初めて保証を利用する)

創業時は、まだ実績のない会社の代わりに社長個人の信用と計画が審査されます。書類も「人」と「計画」の裏付けが中心です。

No.持参書類なぜ必要か(審査側の見方)
1創業計画書(協会・金融機関の所定様式)「人・計画・資金使途・返済原資」が1枚で分かる審査の本体。数字の根拠を別紙で付ける
2自己資金の通帳(貯めてきた履歴が分かるもの)見せ金でなく、計画的に貯めてきたかを通帳の履歴で見る。直前の大口入金は必ず聞かれる
3経歴書・職務経歴(同業での経験年数)実績のない会社で、事業を回せる根拠は社長の経験だけ。年数と役割を具体的に
4資金使途の裏付け(設備の見積書・店舗の賃貸借契約書等)「何にいくら」を第三者の書類で証明する。見積なしの設備資金は稟議が書けない
5売上根拠の資料(受注の内定・取引予定先一覧・前職での顧客基盤等)計画の売上が「願望」か「根拠あり」かの分かれ目。契約書や発注の打診メールでも可
6月次の収支計画・資金繰り予定表(開業後12か月)返済原資が毎月出るかを月単位で見る。開業直後の赤字期間をどう乗り切るかも
7許認可・資格の証明(業種による)許認可が要る業種で未取得なら、融資実行の条件になる。取得予定日も言えるように
8個人の借入・返済状況(住宅ローン・カード等)社長個人の返済負担は返済原資に影響する。聞かれてから思い出すより、先に整理して出す
9登記事項証明書・定款・印鑑証明(法人の場合)本人確認と事業目的の確認。事業目的に今回の事業が入っていないと指摘される

B2回目以降(既に保証付き融資を借りている)

2回目以降は決算書と返済実績、既存借入とのバランスが見られます。面談の場が減るぶん、決算書が「無言の面談」になります。書類は「数字がつながっている」ことを示すものが中心です。

No.持参書類なぜ必要か(審査側の見方)
1決算書3期分(勘定科目内訳書・法人税申告書一式を含む)自己資本・役員貸付金・粗利率の推移・減価償却前経常利益を、3期の流れで見る。内訳書は役員貸付金と借入明細の確認に使われる
2借入一覧表(借入先・当初金額・残高・金利・月返済額・最終返済日・保証の有無。他行分も全部)既存借入の全体像を1枚で。保証協会は保証の利用状況を把握している。把握していない答え方は「資金管理ができていない」と読まれる
3各借入の返済予定表借入一覧表の裏付け。残高と返済額が一覧表と一致しているかを自分で先に確認する
4直近の試算表(決算後の月次。できれば前月まで)決算から時間が経つほど、足元の数字の価値が上がる。悪化決算のあとの回復、好調の継続を示す唯一の材料
5資金繰り表(実績3か月+予定6か月以上)今回の借入を入れた後、毎月の資金が回るかを見る。返済原資を「月」の単位で証明する書類
6資金使途の裏付け(見積書・受注残一覧・売上推移・仕入支払サイトの説明等)運転資金なら「受注が増えて立て替えが増えた」を数字で。設備なら見積書。口頭の「運転資金」は答えになっていない
7業績変動の説明メモ(前期比で動いた科目の原因と手当て。A4で1枚)面談で聞かれる前に差し出せると、「原因を特定できている社長」という評価になる。外部環境だけの説明は不可
8納税証明書(法人税・消費税・地方税。未納がないことを示すもの)税金の滞納は、面談で何を語っても打ち消せない重さがある。未納がないなら、先に証明して安心させる
9経営計画書・事業計画書(増額や大型設備のとき)増額は「今の借入の続き」として審査される。既存借入と今回分を合わせて返せる計画かを見る
10役員貸付金の解消計画(貸借対照表に役員貸付金がある場合)審査上のマイナス材料であり、経営者保証を外す制度の要件にも関わる。一括で無理でも複数年の計画があれば評価は変わる

想定問答30|質問 → 答え方の型 → NG回答例

答え方の型は「結論 → 数字 → 理由」の順。数字の部分(◯の箇所)には、必ず御社の実数を入れて練習してください。NG回答例は、私が初回相談や経営会議の場で実際に聞いてきた答え方を、特定できない形に集約したものです。

1資金使途|何に、いくら、いつ使うのか

1今回の借入は、何に使いますか?
型:品目と金額で答える。「仕入の先行資金です。受注増で、支払いから回収までの立て替えが月あたり◯百万円増えたため、◯か月分の◯千万円を希望します」
NG:「運転資金です」で終わる。何に使うか分解できない答えは、審査側が稟議を書けない
2希望金額の根拠は何ですか?
型:計算式で答える。「月商◯百万円×回収サイト◯か月+在庫◯か月分=必要運転資金◯千万円。現状の手元資金との差額が◯千万円です」。設備なら見積書の金額と自己資金の負担割合
NG:「借りられるだけ借りたい」「前回と同じくらい」。金額に根拠がないと、使途そのものを疑われる
3設備投資の場合、その設備で売上・利益はどう変わりますか?
型:投資効果を数字で。「この設備で生産能力が月◯個から◯個に増え、既に受注のある◯社分を内製化できます。年間の粗利増は仮に◯百万円、投資回収は約◯年の見込みです」
NG:「古くなったので買い替えたい」だけ。更新投資でも、止めたときの損失(受注機会・修繕費)を数字で言う
4このお金を、既存借入の返済や赤字の穴埋めに使う予定はありませんか?
型:正直に、使途を分けて答える。「ありません。使途は仕入資金のみです」。借換が目的なら最初から借換として申し込む。「一本化で月返済額を◯万円軽くし、資金繰りを安定させる目的です」
NG:運転資金と言いながら実際は返済に充てる。資金使途違反は、その後の取引全体の信用を失う
5自己資金や手元資金は、どのくらい入れられますか?
型:手元資金の水準と、残す理由を言う。「現預金は月商の◯か月分あります。うち◯千万円は賞与・納税の支払予定に充てるため、今回の設備は自己資金◯割・借入◯割で考えています」
NG:「全額借りたい」を理由なしに言う。手元資金があるのに全額借入だと、使途や資金管理を疑われる

2返済原資|何で返すのか

6返済の原資は何ですか?
型:利益とキャッシュの言葉で。「償却前の経常利益が年◯千万円出ており、今回分を含む年間返済総額◯千万円をカバーしています」。この1行が言えるかどうかで、面談の空気が変わる
NG:「売上を伸ばして返します」。売上と返済原資は別物。利益と返済額の比較ができない社長は、それだけで不安視される
7経常利益+減価償却費が、年間返済額を下回っていますが?
型:認めたうえで、理由と手当てを。「直近期は◯◯の一時要因で利益が落ちました。直近の試算表では月次で◯百万円の経常利益に戻っており、年換算で返済額を上回る見込みです」と試算表を差し出す
NG:「償却を止めれば黒字です」。償却を止めた黒字は審査側に一目で分かり、評価はむしろ下がる
8今回の借入で、月々の返済額はいくら増えますか?資金繰りは回りますか?
型:資金繰り表で答える。「月返済額は◯万円から◯万円に増えます。資金繰り予定表のとおり、最も残高が薄くなる◯月でも月商◯か月分の現預金を維持できます」
NG:「たぶん大丈夫です」。月単位の資金繰り表がないと、返済原資の話は全部「願望」になる
9回収サイトと支払サイトは、それぞれ何日ですか?
型:主要取引先ごとに。「売上の◯割を占める◯社は月末締め翌々月末回収、仕入は月末締め翌月末払い。この◯日のズレが立て替えの原因で、今回の運転資金の根拠です」
NG:「経理に聞かないとわかりません」。資金使途が運転資金なら、サイトは社長が即答すべき数字
10もし計画どおりに売上が伸びなかった場合、どう返済しますか?
型:下振れシナリオを先に持っておく。「売上が計画比◯%減でも、変動費の圧縮で償却前経常利益は◯千万円確保でき、返済は継続できます。さらに下回る場合は◯◯(役員報酬の見直し等)で対応します」
NG:「そうならないように頑張ります」。精神論は返済原資にならない。下振れ時の打ち手を言えるのが、把握している社長

3業況・決算内容|数字が動いた理由を語れるか

11前期、売上(または利益)が落ちた理由は何ですか?
型:原因の特定と打った手をセットで。「主要取引先◯社の発注減で売上が◯%落ちました。すでに新規◯社と取引を始め、直近◯か月の試算表では売上が前年同月比◯%まで回復しています」
NG:「景気のせい」「物価高のせい」で終わる。外部環境だけの説明は「原因を特定できていない社長」と読まれ、ヒアリングが防戦一方になる
12粗利率が前期から大きく変わっていますが、なぜですか?
型:動きの整合性を説明する。「仕入単価が◯%上がり、価格転嫁が◯か月遅れたため粗利率が◯ポイント下がりました。◯月から新価格に移行し、直近では◯%に戻っています」
NG:「在庫の数え方を変えた」「税理士に任せている」。粗利率の動きに説明がつかないと、在庫計上や原価処理に無理があるのではと見られる
13貸借対照表に役員貸付金がありますが、これは何ですか?
型:経緯と解消計画を。「◯年に◯◯の事情で発生したものです。今期から役員報酬の一部で毎年◯万円ずつ返済し、◯年で解消する計画を立てています」。解消計画書を添える
NG:「よくわからない」「税理士が勝手に付けた」。会社のお金が社長個人に流れているという信号を、放置したまま増額を申し込むのが最悪のパターン
14直近の試算表では、業況はどうなっていますか?
型:決算との接続で答える。「決算後◯か月の累計で、売上は前年同期比◯%、経常利益は◯百万円です。通期では◯千万円の着地を見込んでいます」と試算表を差し出す
NG:「試算表はまだ出ていません」。決算から半年経って試算表がない会社は、月次で数字を見ていないと判断される
15今期の着地見込みと、来期の見通しはどうですか?
型:根拠のある幅で。「今期は売上◯億円・経常利益◯千万円の着地見込みです。来期は受注残◯千万円と新規◯社分で、売上◯%増を計画しています。粗利率は今期並みで見ています」
NG:「来期は倍にします」と根拠なく大きく言う。受注残や契約の裏付けがない計画は、かえって信用を落とす

4借入状況・他行|全体像を把握しているか

16現在の借入は、どこから、いくら、何のために借りていますか?
型:借入一覧表を差し出して答える。「一覧表のとおり◯行から合計◯千万円。うち保証付きが◯千万円、プロパーが◯千万円です。使途はそれぞれ◯◯です」
NG:口頭で思い出しながら答える。他行分を抜かす。保証協会は保証の利用状況を把握しているので、抜けはすぐ分かる
17他の金融機関にも、同時に申し込んでいますか?
型:正直に、役割分担で説明する。「◯行にも設備資金で相談しています。今回は運転資金をこちらで、設備を◯行で、と考えています」。隠さないことが信用
NG:同時申込を隠す。後で判明すると「資金管理ができていない」「資金繰りが相当苦しい」の両方に読まれる
18過去にリスケ(返済条件の変更)や延滞はありますか?
型:事実を先に、回復を後に。「◯年にリスケを行い、◯年◯月に正常返済へ戻しました。以降◯か月、約定どおり返済しています」。履歴は打ち消せないが、回復の事実は評価される
NG:「ありません」と答えて記録と食い違う。リスケ・延滞の履歴は審査側が把握している前提で答える
19税金や社会保険料に、未納はありませんか?
型:納税証明書で答える。「ありません。納税証明書をお持ちしました」。分納中なら「◯月に税務署と分納の合意をし、◯月完納予定です」と合意書を添える
NG:未納を伏せる。税金の滞納は面談でどれだけ誠実に語っても打ち消せないほど重い。隠すのはさらに重い
20借入の総額は年商・利益に対して、妥当だと考えていますか?
型:自分の指標で答える。「借入総額は月商の◯か月分、償却前経常利益で割ると約◯年で返せる水準です。今回分を加えても◯年以内に収まるよう金額を決めました」
NG:「銀行が貸してくれるなら妥当だと思う」。借入の適正水準を自分で持っていない社長は、増額の判断を他人任せにしていると見える

5経営者・後継|会社は社長一人に依存していないか

21社長に万一のことがあった場合、会社はどうなりますか?
型:体制と保険で答える。「営業は◯◯部長、製造は◯◯工場長が回せる体制です。私に万一の場合は借入残高相当の生命保険に加入しており、会社が返済を継続できます」
NG:「考えたことがない」。返済期間が5〜10年なら、その間の社長の不在リスクは審査側にとって現実の論点
22後継者は決まっていますか?
型:現状と時期を正直に。「長男が◯年前から入社し、◯年後に代表交代を予定しています」。未定なら「未定ですが、◯年以内に方向を決める予定で、今は幹部の育成を優先しています」
NG:未定なのに「決まっている」と言う。あるいは質問を嫌がる。承継が未定でも、考えているかどうかは見られている
23社長の役員報酬は、会社の利益に対して妥当ですか?
型:水準と考え方を。「役員報酬は年◯万円で、償却前経常利益の◯%です。業績に応じて見直しており、直近期の減益時には◯%下げました」
NG:赤字なのに報酬を上げている説明ができない。役員報酬の妥当性は、経営者保証を外す制度の要件にも関わる
24月次の数字は、いつ、誰が、どう見ていますか?
型:仕組みで答える。「翌月◯日までに試算表が出て、顧問税理士と月次で確認しています。売上・粗利率・現預金残高の3つは私が毎月見ています」
NG:「決算のときに税理士から聞く」。年1回しか数字を見ていない会社は、返済原資の話が全部あとづけに聞こえる
25顧問税理士や外部の専門家は、財務にどう関わっていますか?
型:役割を具体的に。「顧問税理士が月次の確認と資金繰り表の作成を支援しています。今回の申込の資料も一緒に作りました。必要なら同席も可能です」
NG:「申告だけ頼んでいる」。悪い答えではないが、財務を見る体制がないと判断される。体制があるなら言う

6経営者保証・担保|制度を理解して選んでいるか

26経営者保証(社長個人の連帯保証)について、どう考えていますか?
型:制度を知ったうえで希望を言う。「事業者選択型経営者保証非提供制度の要件(代表者等への貸付金等がない・役員報酬等が相当額の範囲内・直前2期の減価償却前経常利益が連続赤字でない等)を確認したうえで、保証料率の上乗せ(年0.25%または0.45%)を受け入れて、経営者保証なしを希望したいと考えています」
NG:「外せるなら外してほしい」と、要件も上乗せも知らずに言う。制度の存在と要件を知っているかどうかで、会話の質が変わる
27会社と社長個人のお金は、きちんと分かれていますか?
型:決算書で証明する。「役員貸付金・役員借入金はありません(または解消計画があります)。会社の経費と個人の支出は分けており、社用車等の私的利用もありません」
NG:「多少は混ざっている」と笑って済ませる。経営者保証を外す要件の核心は「会社と社長の財布が分かれていること」
28担保として提供できる資産はありますか?
型:一覧で答え、提供の考え方も。「会社所有の◯◯(所在地・簿価・抵当の有無)があります。今回は返済原資で十分と考えており、無担保を希望しますが、必要なら相談に応じます」
NG:担保設定済みの資産を「担保に出せる」と言う。抵当の有無と順位を把握していないと、資産管理ができていないと見られる
29保証料率の区分は、ご存じですか?
型:制度と自社の位置を。「責任共有制度の保証料率は経営状況に応じた9区分で年0.45%〜1.90%と理解しています。当社は現在◯区分で、自己資本と償却前経常利益を改善して区分を上げたいと考えています」
NG:「保証料は言われた額を払っている」。同じ借入でも区分で保証料が大きく変わることを知らないと、決算書を整える動機も持てない
30今後、保証付き融資とプロパー融資をどう使い分けていきたいですか?
型:方向性を持って答える。「保証協会の枠はいざというときのために空けておきたいので、決算書を整えながら、段階的にプロパーの比率を上げていきたいと考えています。今回は◯◯の理由で保証付きを希望します」
NG:「借りられるほうならどちらでも」。保証付きとプロパーの違いを理解していない社長には、銀行も踏み込んだ提案をしにくい
注意:制度名・料率・要件は執筆時点(2026年8月)の公表情報に基づく一般的な説明です(出典:東京信用保証協会「信用保証料率」、中小企業庁「事業者選択型経営者保証非提供制度」)。協会・金融機関・時期により取り扱いが異なり、個別の要件判定は決算書の読み方に関わります。申込前に金融機関と顧問税理士に確認してください。

面談当日の振る舞い・やってはいけないこと

面談は試験ではなく、審査側が稟議を書くための材料集めです。相手が稟議を書きやすくすること、これが当日の唯一の目的です。

やること

No.項目具体的に
115分前に到着する遅刻は「資金管理も同じだろう」と読まれる。早すぎても先方の準備を乱すので、15分前が目安
2書類は出す順に並べておく借入一覧表→決算書→試算表→資金繰り表→資金使途の裏付け。聞かれた瞬間に差し出せる状態にする
3結論→数字→理由の順で答える「仕入資金です。◯千万円です。受注増で立て替えが月◯百万円増えたためです」。理由から話し始めると長くなる
4悪い数字は自分から先に言う減収・赤字・役員貸付金は、聞かれる前に「ここは説明が要ります」と切り出す。先に言えば「把握している社長」、後から指摘されれば「隠した社長」
5分からないことは即答しない「確認して本日中に回答します」と言い、メモする。推測で答えて後から数字が食い違うほうが損
6相手の質問の意図を確かめる「それは返済原資のご確認という理解でよろしいですか」。意図が分かれば、型に当てはめて答えられる
7面談の最後に次の段取りを聞く「追加で必要な資料はありますか」「結論はいつ頃いただけますか」。この一言で、待ちの姿勢から抜けられる

やってはいけないこと

その1:業績悪化を「景気」「物価高」のせいで終わらせる。外部環境の説明だけでは、審査側は「原因を特定できていない」と読む。自社の言葉で原因を特定し、打った手とセットで語る。

その2:役員貸付金や他行借入を、聞かれてから思い出す。決算書に載っているものは審査側が先に知っている。把握していない答え方は「資金管理ができていない」という評価に直結する。

その3:見栄を張って大きな計画を語る。「来期は売上倍増」に受注の裏付けがなければ、返済原資の話まで全部疑われる。根拠のある幅で語るほうが信用される。

その4:担当者に決定権があるかのように食い下がる。目の前の担当者は稟議を書く人であって、決める人ではない。相手を味方にして、書きやすい材料を渡す。

その5:税理士任せの顔をする。「数字は税理士が」「試算表は税理士に聞かないと」。同席してもらうのは構わないが、返済原資の1行だけは社長が自分の言葉で言う。

面談後にやること

面談は終わった瞬間から、次の面談(と来期の決算)の準備が始まります。記憶が新しいうちに、その日のうちに3つだけやってください。

No.やること具体的に
1面談メモを残す(当日中)聞かれた質問/自分の答え/答えに詰まった箇所/先方が気にしていた点/追加資料の依頼/結論の時期。下の記入欄に書く。次回の面談で同じ質問に詰まらないための財産になる
2宿題は翌日中に返す「確認して回答します」と言った事項と追加資料は、翌営業日までに銀行担当者へ送る。スピードそのものが「資金管理ができている」の証明になる
3銀行担当者と顧問税理士に共有する保証協会の面談内容を銀行担当者に伝え、先方が補足説明をしやすくする。顧問税理士には「指摘された科目」を共有し、来期の決算で整える項目(役員貸付金・償却・粗利率の説明)に落とし込む

面談メモ記入欄

面談日・相手
答えに詰まった質問
先方が気にしていた点
追加資料・宿題(期限)
来期の決算で整えること

まとめ|決算書は、あなたの代わりに毎年面談を受けている

  • 面談の核は4つ。資金使途・返済原資・業績変動の理由・既存借入の状況。答えは「品目と金額」「原因と手当て」のセットで
  • 書類は「なぜ必要か」を理解して持参する。2回目以降は決算書3期分・借入一覧表・直近試算表・資金繰り表が四本柱
  • 返済原資は1行で言えるようにする。「償却前経常利益◯千万円に対し、年間返済◯千万円」。この1行が面談の空気を決める
  • 悪い数字は自分から先に言う。先に言えば「把握している社長」、指摘されれば「隠した社長」
  • 2回目以降は、決算書が「無言の面談」になる。自己資本・役員貸付金・粗利率の整合・減価償却前経常利益。この4つを整えることが、保証料率の区分、経営者保証を外す要件、プロパー融資への道の、すべてに効く
仮に3,000万円を5年・均等分割で借りるとすると、保証料率の最上位区分(年0.45%)と最下位区分(年1.90%)とでは、同じ借入なのに保証料の総額が3倍以上、金額にして100万円前後の差になり得ます(「借入金額×料率×期間に応じた係数」によるモデル試算であり、実在の会社の話ではありません)。
面談の受け答えは一発勝負ですが、決算書は1年かけて準備できます。

今日できる小さな行動を一つだけ。直近の決算書を開いて、貸借対照表に「役員貸付金」があるか、経常利益+減価償却費が年間返済額を上回っているか。この2点を確かめてください。それが、次の「無言の面談」への最初の準備です。

来年もまた、保証料の請求額に少しだけ驚きながら、理由の分からないまま同じ区分で借り続けるのか。それとも、面談にも決算にも準備をして臨み、保証料も、個人保証も、借り方そのものも、自分の意思で選べる会社になるのか。分かれ目は、今期の決算をどう組むかから、もう始まっています。

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この資料を作った人

稲田光浩(いなだ みつひろ) 税理士/稲田光浩税理士事務所 代表
年商1〜10億の成長企業オーナー専門・認定経営革新等支援機関・freee認定アドバイザー
税理士業界19年・税理士登録8年目。監査役:東京プロマーケット上場準備中の企業1社/監事:社会医療法人1法人/経営会議・取締役会への参加経験:複数社
顧問先:成長期の中小企業・スタートアップ・医療歯科・飲食等

稲田光浩税理士事務所

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本資料は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の融資審査の結果や保証の可否を保証するものではありません。制度・料率は執筆時点(2026年8月)の公表情報に基づきます。無断転載・再配布はご遠慮ください。© 稲田光浩税理士事務所

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