2代目社長が数字苦手なままでいいのか|まず見るべき「5つの数字」を認定支援機関の税理士が渡す

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2代目社長が数字苦手なままでいいのか|まず見るべき5つの数字

「試算表、毎月もらってはいるんです。でも、正直どこを見ればいいのか分からなくて」——先代から会社を継いだ2代目の社長から、面談でこう打ち明けられることがあります。

継いだばかりの2代目は、忙しい。
現場、社員、取引先、そして先代。
気を配る相手が、一気に増えます。

そこに「数字」まで完璧に理解しろと言われても、無理があります。しかも多くの会社では、数字は先代が一人で握っていた。経理も資金繰りも銀行対応も、先代の頭の中にあって、引き継ぎ書には残っていない。だから2代目は、会社の全体像が数字で見えないまま社長の椅子に座ることになります。

言葉を選ばずに書きます。数字が苦手なこと自体は、まったく問題ありません。問題なのは、「どこから見ればいいか分からない」を理由に、数字から目をそらし続けてしまうことです。

私は認定経営革新等支援機関として、経営改善計画やリスケの相談を、実際に金融機関へ通してきた側の人間です。銀行の審査がどこを見ているかを、審査する側の目線で知っている。その立場から、はっきり言えることがあります。

数字が苦手な2代目が、最初から全部を理解する必要はない。まず「5つの数字」だけを毎月見る。それで十分、経営は回り始めます。

この記事では、その5つの数字が何か、なぜその5つなのか、そして銀行が承継後の2代目のどこを見ているのかを、現場の言葉で渡します。

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1. なぜ2代目は「数字が苦手」なままになりやすいのか?

結論から書きます。2代目が数字に弱いのは、能力の問題ではなく、先代が数字を一人で抱えていた「構造」の問題です。ここを勘違いすると、自分を責めるだけで前に進めません。

創業社長は、たいてい数字を勘で回します。長年やってきて、通帳の残高を見れば「今月は薄いな」「これは危ないな」が肌で分かる。だから帳簿を細かく分析する必要がなく、経理は先代の頭の中と、番頭さんか奥様の手元にありました。

その状態で承継が起きると、何が引き継がれるか。数字そのものは引き継がれても、「数字の読み方」だけは引き継がれない。先代の勘は、言葉になっていないからです。

製造業・卸売業では、これがとくに効いてくると私は感じています。原価、在庫、仕入の掛け、売上の掛け——お金が入ってくるタイミングと出ていくタイミングがずれる業種です。先代は「だいたいこの時期は苦しい」と体で覚えていた。でも2代目には、そのカレンダーが渡されていない。

だから、多くの2代目が同じ場所でつまずきます。「試算表は毎月来る。でも、どの数字が良くて、どの数字が危ないのか、基準が分からない」。私が現場で見る限り、ここでつまずく2代目は本当に多いのです。

逆に言えば、基準となる数字さえ手元にあれば、勘に頼らずに会社の状態が読めるということです。先代の勘を、2代目は「数字」で置き換えればいい。そのための最初の5つを、次にお渡しします。

2. 数字が苦手な2代目が、まず見るべき「5つの数字」とは?

いきなり結論です。私が数字の苦手な2代目に最初に渡すのは、いつもこの5つです。毎月これだけ見ればいい。損益計算書を全部読む必要も、簿記を勉強し直す必要もありません。

なぜこの5つか。それは、会社が潰れるときに壊れる順番と、銀行が最初に確認する順番を重ねたからです。稼ぐ力・残る利益・手元の体力・借金の重さ・固定費の重さ。この5つを押さえれば、会社の健康状態はほぼ掴めます。

数字①:粗利率(会社が「稼ぐ力」の源泉)

粗利率(売上総利益 ÷ 売上高)は、会社の稼ぐ力そのものです。売上100に対して、原価を引いたあとにいくら残るか。製造・卸では、この一つの率に会社の稼ぎ方の性格がはっきり出ます。

大事なのは、金額より「率が去年より上がったか、下がったか」です。売上が伸びていても粗利率が下がっているなら、それは「安売りで数字を作っている」サイン。値決めを間違えているか、原価が上がっているのに価格に転嫁できていない。粗利率の低下は、忙しくなるのに利益が残らない会社の、いちばん最初の兆候です。

数字②:営業利益(本業で、結局いくら残ったか)

営業利益は、本業で残った利益です。粗利から、人件費や家賃などの固定費を引いたあとの数字。ここがプラスで、かつ伸びているかを見ます。

営業外の雑収入や、たまたま入った臨時収入を含めた「経常利益」や「最終利益」で判断すると、本業の実力を見誤ります。本業だけで食えているかを映すのが営業利益です。ここを最初の物差しにしてください。

数字③:手元現預金は、月商の何か月分あるか(資金繰りの体力)

手元の現預金が、月商(1か月の売上)の何か月分あるか。これが会社の「耐久力」です。利益が出ていても、現金がなければ会社は止まります。黒字倒産という言葉があるのは、このためです。

私の体感では、成長期の会社なら月商の1.5か月分を切り始めたら黄色信号、1か月を割ったら赤信号という感覚で見ています。製造・卸は仕入の支払いが売上の入金より先に来やすい業種なので、ここは薄いと一気に苦しくなる。まず自社が何か月分あるかを、今日、通帳と月商で計算してみてください。

数字④:債務償還年数(銀行が、いちばん最初に見る数字)

これは少し専門的ですが、2代目こそ知っておくべき数字です。債務償還年数とは、「今の稼ぐ力で、借金を全部返すのに何年かかるか」を表します。計算は、借入金の残高 ÷(営業利益+減価償却費)。減価償却費は、現金が出ていかない費用なので、返済に回せるお金として足し戻します。

なぜこれが大事か。銀行が融資審査で、いちばん最初に叩く数字がこれだからです。私が審査を通してきた側の感覚でも、一般的に「10年以内なら健全、20年を超えると要注意」という目線で見られます。2代目が「借入をもっと増やして設備投資したい」と思っても、この年数が長ければ、銀行は首を縦に振りません。自社が今どのゾーンにいるかを知らずに銀行へ行くのは、点数を知らずにテストの再提出を頼むようなものです。

数字⑤:労働分配率(固定費でいちばん重い「人件費」の重さ)

労働分配率とは、粗利のうち人件費が占める割合(人件費 ÷ 売上総利益)です。固定費の中で、いちばん重くて、いちばん動かしにくいのが人件費。ここが粗利をどれだけ食っているかを見ます。

業種によって適正水準は変わりますが、製造・卸ではこの率がじわじわ上がっているのに気づかず、利益を圧迫しているケースをよく見ます。社員は大事です。でも、粗利が増えないまま人件費だけ増えれば、会社の未来が細る。「社員を守るために、まず会社の粗利を守る」——この順番を、数字で確認するのが労働分配率です。

①粗利率で稼ぐ力を、②営業利益で残る利益を、③手元現預金で体力を、④債務償還年数で借金の重さを、⑤労働分配率で固定費の重さを。この5つだけで、会社の健康診断はできます。

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それは普通です。数字が苦手な2代目の壁打ち相手として、月に一度、この5つを一緒に見るところから始める形もあります。まずは一度、あなたの会社の5つの数字を無料相談で棚卸ししましょう。LINEからでも受け付けています。

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3. なぜ銀行は、承継後の2代目の「数字を語れるか」を見るのか?

結論を先に書きます。承継が起きると、銀行はその会社を「もう一度、審査し直す」からです。先代の信用で貸していたお金が、2代目という新しい経営者に引き継がれる。銀行にとっては、実質的に新しい取引先を見るのと同じなのです。

このとき銀行が確認したいのは、決算書の数字そのものだけではありません。「この2代目は、自社の数字を自分の言葉で語れるか」。ここを、審査担当は必ず見ています。

なぜなら、銀行融資は”数字の審査”ではなく、”返済ストーリーの審査”だからです。数字が良くても、社長がその数字の意味を説明できなければ、「他人任せの経営」と判断される。逆に、多少数字が荒くても、社長が「うちは粗利率がこう動いていて、だからこの投資でこう返す」と語れれば、銀行は前のめりになります。

だからこそ、さきほどの5つの数字なのです。全部を語る必要はない。この5つを自分の言葉で説明できるだけで、承継後の銀行対応は驚くほど変わります。「先代のときと同じように貸してもらえるか不安」という2代目は多いですが、不安の正体は、数字を語れないことにあることがほとんどです。

私は複数社の経営会議に入り、社長が銀行とどう向き合うかを間近で見てきました。数字を語れる2代目に、銀行は必ず反応します。これは、審査する側の理屈を知っているからこそ、はっきり言えることです。

4. 数字が苦手な2代目が、絶対にやってはいけないことは?

正直に書きます。数字が苦手なこと自体より、その苦手意識から生まれる「やってはいけない行動」のほうが、会社を危うくします。私が現場で何度も見てきた、代表的な3つを挙げます。

❌ 数字が苦手な2代目がやりがちな3つの失敗

  1. 数字を全部、経理や税理士に「丸投げ」して自分は見ない——任せるのは良いが、社長が5つの数字すら見なくなると、判断が全部後手に回る。丸投げと委任は違います。
  2. 売上だけを追いかけて、粗利率と現預金を見ない——「売上が伸びた」で安心して、粗利率の低下や現金の枯渇を見逃す。忙しいのに利益が残らない会社は、ほぼこれです。
  3. 数字が分からないまま、勢いで大きな借入や設備投資を決める——債務償還年数を知らずに借りると、銀行の見る目が変わったあとで気づく。そのときには手遅れになりやすい。

この3つに共通するのは、「苦手だから見ない」が「見ないから判断を誤る」に変わっていく構造です。逆に言えば、5つの数字を毎月見るだけで、この3つの失敗はほぼ防げます。完璧に理解する必要はない。見る習慣があるかどうか、それだけの差です。

5. まず何から始めればいいのか?

答えはシンプルです。来月の試算表が届いたら、5つの数字だけに印をつける。それを3か月続けてください。それだけで、数字が「読めるもの」に変わっていきます。

順番はこうです。まず①粗利率と②営業利益で「稼げているか」を見る。次に③手元現預金で「体力があるか」を見る。そして④債務償還年数と⑤労働分配率で「重さ」を測る。最初は数字の意味が腹落ちしなくてかまいません。毎月同じ5つを見て、先月との差を追うだけで、会社の呼吸が分かるようになります。

数字が読めるようになると、社長の脳に余白が生まれます。「今月、お金は足りるだろうか」と漠然と不安を抱える時間が消え、その分を、本来やるべき経営判断——値決め、採用、設備投資、次の一手——に使えるようになる。数字が味方になった社長は、値決めや投資の判断を、自信を持って下せるようになります。

とはいえ、最初の3か月を一人で走るのは、正直しんどい。「この数字、去年と比べて良いのか悪いのか」の判断基準が、まだ手元にないからです。その基準を、隣で一緒に作る相手がいると、立ち上がりが一気に速くなります。私の事務所が月一の壁打ちという形を用意しているのは、まさにこの「最初の伴走」が効くと知っているからです。

数字が苦手なままの3か月か、数字が味方になる3か月か

また試算表を眺めて「よく分からない」と閉じる日々に戻るのか。それとも、5つの数字を語れる社長になって、銀行にも社員にも胸を張れるようになるのか。分かれ道は、最初の一歩を誰かと踏むかどうかです。
直近1期の決算書があれば、無料相談で「あなたの会社の5つの数字」をその場で読み解きます。

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6. よくあるご質問(FAQ)

Q1. 数字がまったく苦手で、簿記の知識もありません。それでも大丈夫ですか?

まったく問題ありません。簿記を勉強し直す必要はなく、この記事の5つの数字を毎月見るだけで十分に経営判断はできます。むしろ、細かい仕訳を覚えるより、5つの数字の「去年との差」を追うほうが、経営には直接効きます。分からない数字は、その都度、噛み砕いて説明します。

Q2. 先代がまだ元気で、数字も先代が握っています。どう進めればいいですか?

先代がお元気なうちに、5つの数字の「読み方」を引き継ぐのが理想です。先代の勘は貴重な資産ですが、言葉になっていないと承継できません。第三者が入って、先代の頭の中にある基準を数字に翻訳しておくと、あとで2代目が困りません。承継の途中段階でのご相談も多くお受けしています。

Q3. 顧問税理士はいますが、数字の読み方までは教えてくれません。相談だけでも可能ですか?

可能です。今の顧問税理士はそのままで、数字の壁打ち相手やセカンドオピニオンとしてだけ関わる形もあります。税務・決算と、経営数字の伴走は役割が別物です。「今の税理士に経営の話までは相談できていない」という2代目のご相談は、非常に多いです。

Q4. 製造業ですが、原価がどんぶり勘定で、正確な粗利率が出せません。

製造・卸では、これはよくある入口の課題です。まずは今ある数字で概算の粗利率を掴み、そのうえで「どの製品・どの取引が利益を削っているか」を段階的に見える化していきます。最初から完璧な原価計算を目指す必要はありません。今の精度でも、率の推移を追うだけで十分に手が打てます。

Q5. 大阪以外でも相談できますか?

可能です。オンラインで全国対応しています。事務所は大阪市淀川区西中島(新大阪すぐ)ですが、月次の数字の壁打ちはオンラインで完結するケースがほとんどです。対面をご希望の場合は、大阪近郊であれば訪問も相談可能です。

まとめ|数字が苦手でも、5つだけ見れば経営は回る

最後に、もう一度だけ整理します。数字が苦手な2代目が、まず見るべきは次の5つです。

  • ①粗利率——会社が稼ぐ力。率が下がっていないか
  • ②営業利益——本業で残った利益。プラスで伸びているか
  • ③手元現預金(月商比)——会社の体力。何か月分あるか
  • ④債務償還年数——借金の重さ。銀行が最初に見る数字
  • ⑤労働分配率——固定費の重さ。人件費が粗利を食っていないか

この5つを毎月見て、去年との差を追う。それだけで、先代の勘を数字で置き換えられます。数字が苦手なことは弱点ではありません。苦手なまま放置することだけが、弱点です。

継いだ会社を、自分の代で伸ばしたい。その気持ちがあるなら、最初の一歩は今日から踏めます。まず来月の試算表で、5つの数字に印をつけるところから。もし基準が分からなければ、その基準を一緒に作るところから、私がお手伝いします。

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この記事を書いた人

稲田光浩(いなだ みつひろ)

税理士/稲田光浩税理士事務所 代表
年商1〜10億の成長企業オーナー専門・認定経営革新等支援機関・freee認定アドバイザー

  • 顧問先:成長期の中小企業・スタートアップ・医療歯科・飲食等
  • 認定経営革新等支援機関として、経営改善計画・資金調達を金融機関へ通してきた実績
  • 経営会議・取締役会への参加経験:複数社
  • プロジェクト型支援領域:経営ダッシュボード設計・構築/経営計画策定/資金調達伴走/経理業務フロー改善/AI活用設計

〒532-0011 大阪市淀川区西中島4-2-21 ミツフ新御堂筋ビル605

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