頑張っているのに利益が残らないのはなぜか|原因は努力不足ではなく”儲け方の構造”

売上はあるのに、利益が出ない社長へ

頑張っているのに、
利益が残らないのはなぜか。

試算表を見るたび、「これだけ働いて、残るのはこれだけか」と思っていないでしょうか。
社員は頑張っている。自分も休んでいない。売上だって落ちていない。なのに、利益と通帳の残高だけがついてこない——。

先に結論を書きます。その原因は、努力不足ではありません。「儲け方の構造」のどこかに×があるからです。このページでは、その×の見つけ方と、直す順番を書きます。

執筆:稲田光浩(税理士・稲田光浩税理士事務所代表)。税理士業界19年、東京プロマーケット上場準備中の企業の監査役、社会医療法人の監事を務め、複数社の経営会議に外部の立場で参加しています。

利益が残らない会社には、どんな共通点があるのか?

結論から書きます。利益が残らない会社は、5つの構造の掛け算のどこかに「×」を抱えています

5つの構造とは、商品(何で儲けるか)× 顧客(誰に売るか)× 販売(どう売るか)× 事業(どの土俵で戦うか)× 組織(誰がやるか)です。

重要なのは「掛け算」だという点です。足し算なら、4つが良ければ1つの悪さは薄まります。しかし掛け算では、1つの×が全体の答えを小さくします。営業がどれだけ頑張っても、粗利の取れない商品構成のままなら利益は増えない。良い商品があっても、値段でしか選ばない顧客ばかりなら利益は削られる。

だから「もっと頑張る」では解決しません。頑張りは×を薄めてくれないからです。必要なのは、どこに×があるかを特定して、その構造そのものを作り替えることです。

5つの構造、それぞれの「×のサイン」とは?

自社のどこに×があるのか。現場でよく見るサインを、構造ごとに挙げます。1つでも「うちのことだ」と思ったら、そこが出発点です。

① 商品の×——「何で儲けているか」を一言で言えない

売れ筋商品と儲かる商品が別物なのに、区別せずに売っている。値決めを「相場」と「見積もりの前例」で決めていて、原価が上がっても価格に転嫁できていない。商品別の粗利を、実は出したことがない。

② 顧客の×——値段でしか選ばれていない

大口だが利益の薄い取引先に、社内の工数の大半を吸われている。「安くしてくれるから頼む」という顧客が増え、「あなたに頼みたい」という顧客が減っている。失注理由がいつも価格。

③ 販売の×——売れる理由が社長個人に張り付いている

新規の売上は、ほぼ社長の人脈と紹介から。社長が営業を止めると数字が止まる。売れる仕組みが会社ではなく個人に属しているため、社長の時間が上限になっている。

④ 事業の×——撤退を決めた事業がひとつもない

創業以来、事業や取扱分野を「増やした」ことはあっても「捨てた」ことがない。儲かる事業の利益を、儲からない事業が静かに食い続けている。どの事業がどれだけ利益を出しているか、事業別には見えていない。

⑤ 組織の×——人が「利益を生む場所」に配置されていない

忙しい部署と儲かる部署が一致していない。頑張っている社員ほど、利益に繋がらない仕事に埋まっている。給料を上げたい気持ちはあるのに、原資がどこから生まれるのか、構造として説明できない。

部門別・商品別に数字を分けて見る方法は、管理会計の入口|社長がまず作るべき3表で詳しく書いています。決算書から自社の構造を読む基本は経営者のための決算書の読み方をどうぞ。

経営会議の中から見て、利益が残る会社と残らない会社は何が違うのか?

私は税理士として、複数の会社の経営会議に外部の立場で継続的に参加しています。東京プロマーケット上場準備中の企業では監査役として、社会医療法人では監事として、お金の使い道と数字を審査する側に座っています。

その席から見てきたことを、一般化して書きます。

利益が残らない会社の会議は、「今月をどう乗り切るか」の話に終始します。目の前の受注、目の前の資金繰り、目の前の人手不足。どれも切実です。しかし、儲け方の構造そのものを議題にした会議を、私はその種の会社でほとんど見たことがありません。構造は誰の担当でもないから、誰も議題に載せないのです。

一方、利益が残る会社の会議には、「やめる話」が出ます。この商品は絞る、この取引条件は見直す、この事業はここまでで撤退する。何かを捨てる意思決定があるから、残したものに利益が集まる。私の体感では、この差は社長の能力の差ではありません。構造を議題に載せる仕組みがあるかどうかの差です。

利益は、頑張った量への報酬ではなく、
設計した構造への報酬である——
経営会議の中から見てきた、正直な実感です。

❌ やってはいけないこと:原因を特定する前に「対策」から始める

利益が出ないからと、いきなり広告を増やす、安売りセールを打つ、経費を一律カットする——どれも×の場所を特定しないままの対策です。商品構造に×がある会社が販売だけ強化すると、儲からない商品がさらに売れて、忙しさだけが増えます。順番は必ず「診断→設計→実行」。対策は最後です。

では、どの順番で直せばいいのか?

結論はシンプルです。①×を1つ減らす → ②○を1つ強くする。この順番です。

掛け算の構造では、×を放置したまま○を伸ばしても答えは大きくなりません。まず一番深刻な×を1つ特定して、そこを止血する。それから、自社の一番の強み——○の構造を1つ選んで、集中的に太くする。5つ全部を一度に直そうとすると、確実に息切れします。

そして、正直に書かなければならないことがあります。儲け方の構造改革は、1年では終わりません。商品構成の入れ替えも、顧客の質の入れ替えも、組織の配置換えも、効果が数字に表れるまで時間がかかります。だからこそ必要なのが、5年の設計図です。5年後にどんな構造で儲けている会社になるのかを先に描き、そこから逆算して今年やることを決める。設計図なしの構造改革は、行き先を決めずに家を建て替えるようなものです。

黒字なのに現金が残らないという症状が併発している場合は、構造の×に加えてお金の流れの問題もあります。黒字なのに現金がない5つのパターンと改善策もあわせて読んでみてください。

×の特定から5年の設計図まで、2日間で作る場があります

ここまで読んで、「うちはどこに×があるのか、自分で特定できる気がしない」と感じた方へ。それが普通です。社長は自社に近すぎて、自社の構造が見えにくい。外の目と、診断の型が要ります。

当事務所では、5構造の診断から、5年計画の骨子、そして帰った翌日から動ける30日アクションプランまでを2日間で作り上げる「儲け方の設計ワークショップ」を実施しています。方法論の設計から当日の伴走まで、税理士である私がひとつの席で担います。

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頑張っても利益が残らない構造を、2日間で作り直す。持ち帰るのは、きれいな計画書ではなく「儲け方の設計図」です。

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ワークショップの前に、御社の数字で話しませんか。決算書2期分を拝見し、5構造のどこに×がありそうかまでは無料相談の中でお伝えします。売り込みはしません。合わなければ、正直にそう言います。

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利益が残らない悩みについて、よくある5つの質問

Q1. 売上はあるのに利益が出ないのは、経費の使いすぎが原因ではないのですか?
経費が原因のこともありますが、私の体感では、経費削減だけで解決するケースは多くありません。経費を一律に削っても、粗利の取れない商品構成や値段でしか選ばれない顧客構造が残っていれば、利益は戻らないからです。まず商品別・事業別の粗利を出して、×がコスト側にあるのか儲け方側にあるのかを切り分けることをおすすめします。
Q2. 中小企業の利益率は、どのくらいあれば良いのですか?
業種によって水準が大きく異なるため、一律の「合格ライン」を示すのは誠実ではありません。同業種の水準は、中小企業庁が公表している中小企業実態基本調査などの公的統計で確認できます。ただし大切なのは他社比較よりも、「社員の給料を上げ、借入を返し、次の投資をするのに必要な利益額」から逆算した自社の目標利益率です。ここは決算書2期分があれば試算できます。
Q3. 値上げをすれば解決しますか?
値上げは有効な打ち手の1つですが、単独では危険な場合があります。値段でしか選ばれていない顧客構造のまま値上げをすると、客離れだけが起きる可能性があるからです。値上げが効くのは、商品と顧客の構造がある程度整っている場合です。順番として、まず5構造のどこに×があるかを診断してから、打ち手を選ぶことをおすすめします。
Q4. 顧問税理士がいますが、こうした相談はできますか?
できます。今の顧問契約を変える必要はありません。申告業務と「儲け方の構造」の相談は別のテーマなので、セカンドオピニオンとしてご利用いただけます。実際、無料相談には顧問税理士がいる状態でお越しになる方が少なくありません。
Q5. 大阪以外の会社でも相談できますか?
ご相談いただけます。事務所は大阪市淀川区ですが、オンライン面談で全国に対応しています。決算書2期分をお手元にご用意いただければ、オンラインでも対面と同じ内容の診断が可能です。

まとめ——利益は、頑張りではなく構造に宿る

利益が残らない原因は、努力不足ではなく、商品×顧客×販売×事業×組織の5構造のどこかにある×です。掛け算だから、×を放置したまま頑張りを積んでも答えは変わりません。直す順番は、×を1つ減らし、○を1つ強くする。そして構造改革は1年では終わらないからこそ、5年の設計図が要ります。

今日できる小さな行動を1つ。直近の決算書か試算表を開いて、「うちの利益は、どの商品の、どの顧客から生まれているか」を紙に書き出してみてください。すらすら書ければ、構造は見えています。手が止まったら、そこがあなたの会社の×の入口です。

1年後、また同じ試算表を前に同じため息をつくのか。それとも、設計図を手に構造を作り替え始めているのか。分かれ道は、×を特定するかどうか——それだけです。

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