大阪の制度融資と信用保証|使う順番と期限の考え方

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資金繰りが気になり始めて、「大阪 制度融資」と検索してみた。
出てきたのは、府のメニュー一覧、市のパンフレット、保証協会の制度表。

どれも正しい情報です。

でも、読み終えたあとに残るのは、こんな感覚ではないでしょうか。

「制度がたくさんあるのは分かった。で、うちはどれから手をつければいいんだ」

制度のカタログは、行政のサイトにも士業のブログにも、もう十分すぎるほどあります。足りていないのは、そこではありません。足りていないのは、「順番」と、「その借り方が、銀行からどう見えるか」の二つです。

私は税理士として決算書を作る側にいますが、同時に、東京プロマーケット上場準備企業の監査役、社会医療法人の監事として、出てきた数字を見て判断する側の席にも座っています。複数社の経営会議にも外部の立場で参加しています。だから分かるのですが、資金調達は「いくら借りられたか」で終わる話ではありません。その借り方が、次の一回の融資の可否を決めます。

この記事は、大阪府内の中小企業が今使える公的な融資・信用保証の制度を、使う順番で並べ直したものです。

本記事は2026年9月時点の公表情報にもとづいています。制度融資・信用保証は、年度替わりや指定期間の切り替わりで要件・利率・対象業種が変わります。実際に申し込む前に、必ず中小企業庁・大阪府・大阪市(またはお住まいの市町村)・大阪信用保証協会の最新の案内でご確認ください。本文中には、確認に使った公式ページのURLを載せています。

制度を選ぶ前に、手元の3つの数字を出しておいてください

直近3か月の売上高と、前年同期の売上高。現預金残高。年間の借入返済額。この3つがあれば、使える制度はかなり絞り込めます。逆に、この3つがないまま制度を調べても、決められません。

数字は出したが、どう読めばいいか分からない——という段階でしたら、初回45分の無料相談でご一緒に分解します。
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なぜ「制度を調べる前に、順番を決める」必要があるのでしょうか

公的な制度は、一つひとつが独立した商品のように並んでいます。だから、つい「一番条件の良さそうなもの」から探してしまう。

これが、遠回りの原因です。

公的融資・保証の制度は、ほとんどが「自社の状態」を入口の鍵にしています。売上がどれだけ落ちているか。従業員が何人か。事業を何年やっているか。どこに事業所があるか。鍵が合わなければ、どんなに条件が良くても扉は開きません。

つまり、先に決めるべきは「どの制度を使うか」ではなく、「自社がどの鍵を持っているか」です。

順番にすると、こうなります。

順 決めること それで何が絞られるか
① 売上減少率を測る 使える保証の「号」が決まる
② 市町村の認定が要るか分ける 段取りと所要日数が決まる
③ 別枠が生きる組み合わせを選ぶ 借りられる総額が決まる
④ 公庫か民間かを決める 次の一回の調達余力が決まる

この順に潰していけば、大阪府内の企業が検討すべき制度は、たいてい2〜3個まで絞れます。

ステップ①:自社の売上減少率は、何%ですか

最初にやることは、制度を読むことではありません。電卓を叩くことです。

公的保証の世界では、売上の落ち方によって、使える扉が変わります。ざっくり言えば、△5%・△15%・△20%の三本の線が引かれています。

△5%の線:セーフティネット保証5号

国が指定した「全国的に業況の悪化している業種」を営んでいて、企業全体の最近3か月間の売上高等が前年同期比で5%以上減少している場合に、市町村長の認定を受けられます(要件イ)。原油等の仕入価格上昇を価格に転嫁できていない場合の要件ロもあります。

  • 保証割合:借入額の80%
  • 保証限度額:一般保証とは別枠で、普通保証2億円・無担保保証8,000万円(最大2億8,000万円)
  • 認定申請先:市町村(特別区)の商工担当課等の窓口
  • 持っていくもの:市町村の様式に記入した認定申請書と、直近3か月分および前年同期分の売上高が確認できる資料(試算表・売上台帳など)。申請書に書いた金額と資料の数字が、そのまま突き合わせられる状態にしておいてください

出典:セーフティネット保証5号の概要(農林水産省)/セーフティネット保証5号の認定申請について(大阪市)

5%は、意外と低い線です。「うちはそこまでひどくない」と思っている会社が、3か月分を足して前年と比べてみたら、あっさり超えていた——ということが起こります。感覚ではなく、必ず計算してください。

△15%の線:危機関連保証

最近1か月間の売上高等が前年同期比で15%以上減少し、かつその後2か月を含む3か月間も15%以上減少する見込み、という要件です。ただしこれは、リーマンショックや感染症のような大規模な危機を、国が「危機」として指定したときにだけ発動する制度です。危機が指定されていない平時は、要件を満たしていても認定の対象になりません。

2026年9月時点で、中小企業庁は認定案件がない状態としています(自治体の案内でも「現在認定対象外」と表示されています)。「15%落ちているから使えるはず」と当てにして資金繰り計画を立てるのは、危険です。発動の有無は中小企業庁のセーフティネット保証制度のページでご確認ください。

△20%の線:セーフティネット保証4号

自然災害など突発的な事象が起きたときに、国が地域を指定して発動される保証です。要件は、指定地域内で1年以上継続して事業を行っていること、そして最近1か月の売上高等が前年同月比で20%以上減少し、その後2か月を含む3か月も20%以上減少する見込みであること。

  • 保証割合:100%
  • 保証限度額:一般保証とは別枠

出典:セーフティネット保証4号(中小企業庁)。現在どの地域が指定されているかも、このページで確認できます。

4号は「業種」ではなく「地域」で決まるのが特徴です。裏を返すと、大規模な災害などで自社の市町村が指定されていなければ、売上が20%落ちていても4号は使えません。平時の大阪では出番がなく、災害が起きた直後にはじめて開く扉だと理解してください。指定されているかどうかは、その時点の指定案件で決まります。大阪市の案内も、指定案件は中小企業庁のページで確認するよう求めています(セーフティネット保証制度|大阪市)。

ここまでで、自社がどの線の上にいるかが決まります。決まったら、次は段取りの話です。

ステップ②:その制度、市町村の認定は要りますか

ここが、スケジュールを大きく分ける分岐点です。

セーフティネット保証も危機関連保証も、金融機関に行く前に、市町村長の認定書を取る必要があります。銀行の窓口が起点ではありません。役所の窓口が起点です。

大阪市の場合、5号の認定申請は事前予約のうえ窓口での申請のみで、郵送も代理申請もできません。窓口は経済戦略局企業支援課資金支援担当(大阪市中央区本町1-4-5 大阪産業創造館12階)。不備がなければ即日発行されます(出典:大阪市)。

「即日発行」は、裏を返せば「不備があれば出直し」ということです。社長が半日を潰して出向いて、数字の根拠資料が足りずにもう一度行く。これがいちばん、もったいない。

一方で、認定が要らない制度もあります。大阪府の制度融資のうち、経営安定サポート資金のオールラウンド型は、売上高や利益率が最近1か月で前年同月比減少していることが対象要件で、市町村長の認定は不要です。同じ「経営安定サポート資金」でも、セーフティネット型は市町村長の認定が必要です(出典:大阪府融資制度保証一覧|大阪信用保証協会)。

つまり、同じ名前の制度の中に、認定が要るルートと要らないルートが同居している。ここを分けずに調べ始めるから、混乱します。

認定が要るもの 認定が要らないもの
セーフティネット保証(4号・5号ほか)
危機関連保証
経営安定サポート資金(セーフティネット型)
経営安定サポート資金(オールラウンド型)
小規模企業サポート資金
開業・スタートアップ応援資金

急ぐ局面なのか、条件を優先する局面なのか。その判断によって、選ぶルートが変わります。

ステップ③:「別枠」が生きる組み合わせを選べていますか

これは、知らないまま諦めている会社がある論点です。

信用保証には、通常の一般保証の限度額(普通保証2億円・無担保保証8,000万円)があります。そして多くの社長は、「もう保証協会の枠は使い切っているから、公的な保証は無理だろう」と考えます。

そこで止まってしまう。

ところが、セーフティネット保証と危機関連保証は、一般保証とは別枠です。5号なら普通保証2億円・無担保保証8,000万円の別枠、4号も一般保証とは別枠の限度額が設定されています。一般保証の枠が埋まっていても、認定要件を満たせば、別の枠として使える余地があるということです。

ここで押さえておきたいのは、別枠は「あるから使う」ものではないという点です。

別枠があるということは、保証協会付きの借入をさらに積み増せるということでもあります。積み増した結果、年間の返済額が利益に対して重くなりすぎれば、次に困るのは自分です。使える枠の大きさと、返せる金額は別の話です。年間の返済額に対して利益とキャッシュが足りているかは、債務償還年数の計算で確かめておいてください。

「別枠があるかどうか」を調べるのは、順番としては3番目です。1番目と2番目(減少率・認定要否)を飛ばして別枠の話から入ると、借りられる額の話だけが先行してしまいます。

ステップ④:公庫と民間、どちらで借りますか

ここが、いちばん差がつくところです。

日本政策金融公庫の経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)は、信用保証協会の保証を使わない、公庫からの直接の融資です。

中小企業事業 国民生活事業
融資限度額 7億2千万円(直接貸付) 7,200万円
設備資金 20年以内(据置3年以内) 20年以内(据置3年以内)
運転資金 10年以内(据置3年以内) 10年以内(据置3年以内)

出典:経営環境変化対応資金(中小企業事業)/同(国民生活事業)。利率は基準利率(中小企業事業の長期運転資金は上限3.0%)で、要件により引き下げの区分があります。

注目していただきたいのは、限度額でも金利でもありません。

公庫の直接貸付は、信用保証協会の枠を消費しない——ここです。

保証協会の枠は、会社にとって有限の資源です。運転資金を全部そこから取れば、次に設備投資の話が出たときに、使える枠が残っていません。公庫で取れる部分は公庫で取り、保証協会の枠は「本当にそこでしか取れないもの」のために空けておく。これが、枠の使い方としての順番です。

加えて、運転資金でも据置期間が最長3年設定でき、返済期間も長めに設計できます。目先の資金繰りを平らにするという意味では、民間の短期資金とは役割が違います。公庫と銀行の役割の違いは日本政策金融公庫と地方銀行の使い分けで詳しく整理しています。

大阪府・大阪市には、どんな制度が用意されているのでしょうか

ここまでの4ステップで枠組みが決まったら、はじめて具体的なメニューを見ます。

大阪府の制度融資(信用保証付き)

大阪府の令和8年度制度融資には、次のような資金が並んでいます(出典:各種融資メニュー|大阪府)。

  • 開業・スタートアップ応援資金
  • 小規模企業サポート資金
  • チャレンジ応援資金
  • 経営安定サポート資金(セーフティネット型/オールラウンド型)
  • 経営改善サポート資金(再生支援強化型)

保証の条件を大阪信用保証協会の一覧で見ると、こうなっています(出典:大阪府融資制度保証一覧)。

資金 保証限度額 期間 主な対象
経営安定サポート資金
(セーフティネット型)
2億円
うち無担保8,000万円
10年以内 企業倒産や不況業種の影響で経営安定に支障。市町村長の認定が必要
経営安定サポート資金
(オールラウンド型)
2億円
うち無担保8,000万円
10年 売上高や利益率が最近1か月で前年同月比減少。認定不要
小規模企業サポート資金 2,000万円
(既存の保証付融資残高との合計で2,000万円の範囲内)
10年以内 常時従業員20人以下(商業・サービス業は5人以下)
開業・スタートアップ応援資金 3,500万円 10年以内 事業開始予定者または開始後5年未満

小規模企業サポート資金の「既存の保証付融資残高との合計で2,000万円の範囲内」という一文は、見落とされやすい条件です。限度額2,000万円とは、新たに2,000万円借りられるという意味ではありません。

これは相談・申込の窓口の話で、大阪府金融課・大阪信用保証協会・府内市町村(大阪市を除く)、または取扱金融機関が受け付けます。大阪市内に事業所がある場合は、市役所ではなく取扱金融機関か大阪信用保証協会に相談してください(出典:制度融資(信用保証付き)のご案内|大阪府)。

大阪市の経営支援特別融資

大阪市内に事業所がある小規模企業者であれば、市の制度も選択肢に入ります。ここでいう小規模企業者は常時使用する従業員が20人以下(商業・サービス業・飲食業は5人以下)の事業者です。従業員数がこれを超える会社は、この制度ではなく5%の線か、大阪府の経営安定サポート資金を見てください。

  • 対象:同一事業をおおむね1年以上経営し、大阪市内に事務所または事業所があり、事業による大阪市市民税を納税している小規模企業者で、最近3か月または6か月の売上高が前年同期と比較して減少している方
  • 融資限度額:2,000万円(既存の保証付き融資残高を含む)
  • 融資期間:10年以内(据置期間12か月以内)
  • 利率:年1.65%(固定金利)
  • 保証料:年0.5%〜2.2%(大阪信用保証協会の定める料率による)

出典:経営支援特別融資のご案内|大阪市

売上が「減少している」ことが条件で、減少率の数値基準が置かれていない点が、セーフティネット保証との違いです。5%に届かない会社でも検討の余地がありますが、上の従業員数の条件を満たす小規模企業者に限られます。

制度融資を使うと、銀行からの見え方はどう変わりますか

ここからが、行政のサイトには書かれていない話です。

私は監査役・監事として、出てきた決算書や資金繰り表を「判断する側」で見ます。その席から見たとき、借入の中身は、金額よりも構成が目に入ります。

保証協会付きの借入が増えるということは、銀行から見れば、リスクの大半を保証協会が負っている状態です。5号なら80%、4号なら100%が保証されます。銀行が自分の身銭を切って貸している部分(プロパー融資)は、相対的に小さくなっていく。

これは、短期的にはありがたい話です。借りやすいのですから。

ただし、正直に書きます。保証付きに寄せすぎることには、代償があります。

  • 銀行との「取引の深さ」が育たない——プロパー融資は、銀行が自ら審査してリスクを取った実績です。保証付きばかりだと、その実績が積み上がりません
  • 保証料という固定費が乗る——大阪市の経営支援特別融資でも年0.5〜2.2%。金利とは別に、毎年かかります
  • 枠を先に使い切ると、次の選択肢が減る——設備投資や承継のタイミングで、動かせる枠が残っていない
  • 「認定を取った会社」という事実が残る——売上減少を要件とする認定は、当然ながら売上が落ちたことの記録でもあります

とはいえ、誤解のないように申し上げると、制度融資を使うこと自体がマイナス評価になるわけではありません。私が見ていて差が出るのは、制度を使ったかどうかではなく、「なぜそれを選んだかを、社長が説明できるかどうか」です。

「借りられると言われたので借りました」と、「運転資金のこの部分は公庫で長期に据え、保証協会の枠は来期の設備投資のために空けています」。同じ金額を借りていても、後者は財務を設計している会社に見えます。

銀行評価を落とす行動パターンは銀行評価が下がる5つのNGに、保証協会の面談で実際に聞かれることは信用保証協会の面談で聞かれることにまとめてあります。

「うちの借入構成は、銀行からどう見えていますか」——この問いに答えるのが初回の45分です

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制度融資でやりがちな失敗

  • 銀行の窓口から相談を始めてしまう——認定が必要な制度は、市町村の認定書が先。順番が逆だと二度手間になります
  • 減少率を感覚で判断して、調べるのをやめる——3か月分を足して前年同期と比べるだけです。5%の線は思っているより低い
  • 一般保証の枠が埋まっているから無理だと諦める——セーフティネット保証は別枠です。諦める前に、認定要件に当てはまるかを確認する
  • 限度額を「新たに借りられる額」と読む——「既存の保証付融資残高との合計で」という但し書きが付く制度があります
  • 運転資金を全部、保証協会の枠から取る——公庫で取れた部分まで枠を消費すると、設備投資のときに残っていません
  • 指定期間の終わり際に動き出す——認定は窓口申請・予約制で、不備があれば出直しです。締切直前は窓口も混みます
  • 借りた後の返済原資を決めずに借りる——「何で返すか」を言えない借入は、次の融資の交渉材料になりません

借りたあとの「返済原資」を、どう説明しますか

制度融資の話は、認定が下りて着金した時点で終わりにされがちです。

でも、銀行が本当に見ているのは、そこから先です。

据置期間が3年取れる、返済期間が10年取れる——これは条件としてありがたい。ただし、据置期間は返済が消える期間ではなく、返済が始まるまでの準備期間です。据置が明けた月から、元金の返済が資金繰りに乗ってきます。

そこで問われるのが、「その元金を、何で返すのか」です。

答え方は、大きく3通りしかありません。

  1. 利益で返す——本業の税引後利益+減価償却費が、年間返済額を上回る状態にする。上回っていないなら、いつ上回るのかを月次で示す
  2. 運転資金の回転で返す——売掛金の回収サイトを縮める、在庫を落とす。落ちた分が返済原資になる
  3. 資産の処分で返す——遊休資産・使っていない保険の解約など。一度きりの原資なので、本筋にはならない

この3つのうち、どれをどの割合で当てるのか。ここまで書いた資料を持ってくる会社は、多くありません。だから、書いてあるだけで扱いが変わります。

銀行に提出する計画に何を書くべきかは銀行に出す事業計画書の5要素に、手元にいくら残しておくべきかの目安は手元資金の目安にまとめています。すでに一度断られている場合は、融資を断られた次の一手から順に確認してください。

今期の指定期間のうちに、何を判断すべきでしょうか

最後に、時期の話です。

セーフティネット保証5号は、国が指定した業種を営んでいることが前提です。そして、その指定業種には指定期間があります。

現在の指定期間は、令和8年7月1日から令和8年9月30日までです。(前期は令和8年4月1日〜6月30日でした。出典:農林水産省)

認定申請は、指定期間の終期までに市町村へ行う必要があります(出典:大阪市)。

ここで一つ、正直に書いておきます。次の期の指定業種がどうなるかは、現時点では分かりません。私にも、誰にも。指定業種は期ごとに見直されるため、今期に入っている業種が次期も入っている保証はありませんし、逆に入ることもあります。

だからこそ、判断すべきなのは「次はどうなるか」の予想ではなく、この二つです。

  • 今期の指定業種に自社が入っているか——中小企業庁のセーフティネット保証5号のページにある今期の指定業種一覧で、自社の日本標準産業分類の細分類が入っているかを確認する
  • 入っているなら、今期のうちに認定を取っておく意味があるか——直近3か月の減少率が5%を超えているなら、動くのは今期です

ここで言いたいのは「急いで借りましょう」ではありません。借りるかどうかを決める前に、認定という選択肢を確保できる状態かどうかを確かめておく、ということです。認定書には有効期間がありますし、認定を取ったからといって借りる義務が生じるわけでもありません。

調べるのに、お金はかかりません。かかるのは、社長の半日だけです。

よくある質問

Q. セーフティネット保証5号は、一般保証の枠が埋まっていても使えますか

A. 5号の保証限度額は一般保証とは別枠で、普通保証2億円・無担保保証8,000万円(最大2億8,000万円)が設定されています。したがって、一般保証の枠を使い切っていることだけを理由に諦める必要はありません。ただし、認定要件(指定業種を営み、最近3か月の売上高等が前年同期比5%以上減少など)を満たし、かつ金融機関・保証協会の審査を通ることが前提です。枠があることと、借りられることは別です。

Q. 認定は、銀行と保証協会のどちらに申請するのですか

A. どちらでもありません。市町村(特別区)の商工担当課等の窓口です。大阪市の場合は経済戦略局企業支援課資金支援担当で、事前予約のうえ窓口申請のみとなっており、郵送・代理申請はできません。認定書を受け取ってから、金融機関または保証協会に保証付き融資を申し込む流れです。

Q. 売上は落ちていますが、5%には届きません。使える制度はありますか

A. 大阪府の経営安定サポート資金(オールラウンド型)は、売上高や利益率が最近1か月で前年同月比減少していることが対象要件で、市町村長の認定は不要とされています。大阪市の経営支援特別融資も、最近3か月または6か月の売上高が前年同期と比較して減少していることが条件で、減少率の数値基準は置かれていません。ただし大阪市の制度は、常時使用する従業員が20人以下(商業・サービス業・飲食業は5人以下)の小規模企業者に限られます。いずれも他の要件がありますので、詳細は各制度の案内でご確認ください。

Q. 危機関連保証は、今も使えますか

A. 危機関連保証は、国が「危機」を指定したときにだけ発動する制度です。2026年9月時点で、中小企業庁は認定案件がない状態としています(自治体の案内でも「現在認定対象外」と表示されています)。売上が15%以上減少していても、危機が指定されていない期間は認定を受けられませんので、資金繰り計画の前提に置かないでください。発動の有無は中小企業庁の危機関連保証のページで確認できます。

Q. 公庫と保証協会付き融資は、どちらを先に使うべきですか

A. 一概には言えませんが、判断の軸は「保証協会の枠をどこに残すか」です。日本政策金融公庫の直接貸付は保証協会の枠を消費しないため、公庫で調達できる部分を公庫で取れば、保証協会の枠を設備投資や将来の資金需要のために残せます。一方、公庫には公庫の要件と審査があり、必要な時期に必要な額が出るとは限りません。返済期間・据置期間・資金使途を並べて比較し、両方に当たるのが実務的です。

Q. 制度融資を使うと、銀行からの評価は下がりますか

A. 制度融資を使ったこと自体が評価を下げるわけではありません。ただし、保証協会付きの借入に寄せすぎると、銀行が自らリスクを取った融資(プロパー融資)の実績が積み上がらず、保証料という固定費も毎年かかります。差が出るのは、制度を使ったかどうかではなく、「なぜその制度をその順番で選んだのか」を社長が説明できるかどうかです。

まとめ:調べる順番を変えるだけで、答えは絞れます

制度の一覧を最初から読み込む必要はありません。順番はこうです。

  1. 直近3か月の売上を、前年同期と比べる(△5%・△15%・△20%のどの線か)
  2. 候補の制度に、市町村の認定が要るかを分ける(段取りと日数が決まる)
  3. 別枠が生きる組み合わせを確認する(諦める前に別枠を見る/ただし返せる額とは別の話)
  4. 公庫で取る部分と、保証協会の枠に残す部分を決める
  5. 返済原資を、利益・運転資金・資産処分のどれに当てるかを書いておく

そして、2026年9月時点での時期の論点は一つ。セーフティネット保証5号の今期の指定期間は令和8年9月30日までで、次期の指定業種はまだ分かりません。自社が今期の指定に入っているかどうかは、確かめておく価値があります。

ここから先は、二つに分かれます。

数字を出して、順番どおりに自分で当たれる社長は、それが一番早い。この記事のとおりに進めてください。窓口も出典も本文に載せてあります。

もう一方は、「制度の話の前に、うちの借入構成そのものが適正なのか分からない」という社長です。その場合、制度を一つ選ぶより先に、決算書を開いたほうが早く終わります。

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監修:稲田 光浩(税理士)

稲田光浩税理士事務所 代表。近畿税理士会所属・税理士登録番号135413。認定経営革新等支援機関。

2007年から会計事務所に勤務し、2021年10月に大阪・西中島で独立。決算書を作る側であると同時に、東京プロマーケット上場準備企業の監査役、社会医療法人の監事として、出てきた数字を見て判断する側の席にも座っています。複数社の経営会議に外部の立場で参加し、資金調達・設備投資・人員計画が実際に決まっていく現場に立ち会っています。

稲田光浩税理士事務所/〒532-0011 大阪府大阪市淀川区西中島4-2-21 ミツフ新御堂筋ビル605/TEL 06-7777-1762(平日9:00-20:00・土日祝対応可)

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